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【人事労務ニュース】 雇用調整助成金 円高の影響を受けた事業主に対する特例が設けられました

 歴史的な円高が続いていますが、その対策として、雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金を含む)の支給要件の特例が設けられました。今回はこの内容について取り上げます。

[特例の内容]
 今回の特例を活用し雇用調整助成金を申請する際には、以下の要件を満たす必要があります。
1.雇用保険適用事業所の事業主であること
2.円高の影響により、最近1ヶ月の生産量等がその直前の1ヶ月または前年同期と比べ、原則として5%以上減少していること
   ※赤字の中小企業の場合は、5%未満の減少でも可能
3.休業等を実施する場合、事前に都道府県労働局またはハローワークに計画の届け出をすること

 また上記の要件2.については、最近1ヶ月の生産量等がその直前の1ヶ月または前年同期と比べ、原則として5%以上減少する見込みであっても、雇用調整助成金の申請手続きを行うことが可能となっています。なお見込みに基づき申請する場合で、支給決定の際に実際に減少していなかった場合、支給対象外となることに注意が必要です。

[円高の影響とその申請]
 円高の影響により生産量等の回復が遅れていることについては、「円高の影響」の判断基準がポイントとなります。例として「円高の影響による輸出量の減少、輸出関係の受注の減少」、「円高の影響により取引先が海外への発注に移行したことや、経費削減したことによる受注の減少」、「円高の影響による外国人観光客等の減少」が挙げられています。
  また、申請時には指定の様式「雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書(円高の影響を受けた事業主用)」を提出する必要があります。なお、この特例の適用は、対象期間(※1)の初日が平成23年10月7日以降である場合に受けることができます。
※1 事業主が初回の計画届けを提出した際に自ら指定する助成対象となる期間(1年間)

[不正受給防止強化]
 雇用調整助成金は、不正受給が多く見られることから実地調査が強化され、平成22年11月以降の申請に不正があった場合、事業主・事業所の名称などの公表が行われ、悪質な場合などは刑事告発も行われています。そのため、企業としてはこの助成金制度の目的(経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者の雇用を維持するために休業等を行った際に、その費用の一部を助成する制度)を再確認した上で、適正に利用していくことが求められます。


 実際の助成金の受給にあたっては各都道府県の労働局がその窓口となりますが、支給日数や支給額の限度等細かな注意点もありますので、申請を検討される場合にはご遠慮なく、当事務所までお問い合わせください。

■参考リンク
厚生労働省「円高の進行に伴い雇用調整助成金の支給要件を緩和します」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001qvft.html 



※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。