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【人事労務ニュース】 従業員にマイカー通勤を許可する際の注意点

 都市部を除く多くの地域では、マイカー通勤をしている従業員が多く見られますが、その際、従業員本人が事故を起こしたり、あるいは事故に巻き込まれるといったリスクを避けることはできません。原則として、通勤途上に発生した事故の責任は従業員本人に帰属しますが、会社は従業員がマイカー通勤をすることにより事業を営むことができ、それに基づいて利益を得ることから、場合によっては会社も使用者として一定の責任が問われることがあります。そのため、従業員のマイカー通勤を認める際には一定の基準を設けた上で許可制を採る等のルールづくりが不可欠です。そこで以下では、従業員にマイカー通勤を許可する際の注意点について解説します。

1.手続を届出制ではなく許可制とすること
 従業員がマイカー通勤を行う場合、会社への届出制としている例は少なくありませんが、従業員が交通事故を発生させるリスクを考えると、届出制ではなく、任意保険等の一定の基準を設けた上で許可制とすることが求められます。届出さえすれば誰でもマイカー通勤をすることができるのではなく、今後は会社が許可基準の確認と審査をした上で、許可を得た従業員についてマイカー通勤を認めるべきでしょう。

2.許可基準の設定
 許可制とする際に必要となるのが許可基準ですが、その中でもっとも重要な基準として考えられるものに、一定の任意保険へ加入しているかがあります。事故発生時の賠償額が高騰している現状を鑑みれば、できれば対人・対物共に無制限の保険への加入を基準としたいところでしょう。その他、駐車場の確保等、自社に沿った基準を設定した上で、実際の申請時には、運転免許証や任意保険の保険証券のコピー等を必ず添付させ、その内容を確認しておきます。

3.毎年更新の手続きを行うこと
 許可基準制度の運用においては、交通違反等により運転免許の取消しや停止となっているにも関わらず、従業員が会社に報告しないままマイカー通勤をしているケースや任意保険が失効しているケース等が発生することから、マイカー通勤の許可は毎年定期的に実施することが望まれます。
  許可の更新手続きにより事務作業が煩雑にはなりますが、例えば毎年4月に一斉に更新の手続きを行うことで、総務担当者はまとめて審査を行うことが可能となります。改めて現行の取扱いを確認し、もし不十分な点があれば、早めにルールづくりをしておきましょう。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。