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【人事労務ニュース】 年次有給休暇の計画的付与とは

 年次有給休暇(以下、「年休」という)は従業員が請求した日に与えることが原則となりますが、例えば年末年始休業などに連続させ、全従業員に年休を取得させたいといったこともあるのではないでしょうか。このような取り扱いは、計画的付与という制度を利用することで可能となります。今回はこの年休の計画的付与について取り上げることとします。

1.計画的付与とは
 年休の計画的付与とは、労働者の過半数代表者と書面による協定(以下、「労使協定」という)を締結することにより、年休の日数のうち5日を超える部分について、労使の合意の下で計画的に年休を与えることができるという制度です。例えば、年休を15日間保有している従業員については、5日間は従業員が自由に取得できるようにしなければなりませんが、それを超過する10日間は会社が指定した日に与えることができます。

2.計画的付与の方式と協定事項
 この計画的付与は主に3つの方式が考えられ、そのいずれの場合にも労使協定の締結が必要となります。3つの方式と考えられる協定事項は以下の通りです。
 (1)事業場全体の休業による一斉付与方式
  協定事項:具体的な年休の付与日
 (2)班別の交替制付与方式
  協定事項:班別の具体的な年休付与日
 (3)年休付与計画表による個人別付与方式
  協定事項:計画表を作成する時期、手続き等

3.年休がない新入社員の取扱い
 2の(1)の方式により会社全体で休業する際に発生する問題として、年休が付与されていない従業員の取扱いが挙げられます。例えば、8月の夏季休業時に事業場全体の休業による一斉付与を行おうとする場合、法定通りの年休付与を前提とすると、4月に入社した新入社員についてはまだ年休が付与されていません。こうした場合には、一斉付与の日に新入社員のみ出勤させるということは非現実的であるため、特別有給休暇を与えるなどの措置を取ることが一般的です。なお、このような措置を取らずに新入社員を休業させる場合は、会社都合による休業となるため、少なくとも労働基準法第26条に定められている休業手当の支払が必要となります。

 なお、実際の導入にあたってご不明点や労使協定の作成等でお困りのことがございましたら、ご遠慮なく当事務所までお問い合わせください。

 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。