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【人事労務ニュース】 労働保険年度更新 手続きのポイント

 社会保険制度の中に、労働者災害補償保険(以下、「労災保険」という)と雇用保険がありますが、これらをまとめて労働保険と呼んでいます。

 この労働保険は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間を「保険年度」という単位で示し、保険年度ごとで保険料を計算することとなっています。この保険料の納付については、保険年度ごとに事前に概算で保険料を納付し、保険年度終了後にその保険年度の賃金総額に基づき保険料を確定させ、精算するという方法を採っていますが、毎年6月1日から7月10日(平成23年度は曜日の関係で7月11日)までの間にこの確定・精算手続きを行うことになっています。この労働保険料の計算から申告・納付までの手続きを労働保険の年度更新と呼んでいますが、今回は平成23年度の労働保険の年度更新における手続きのポイントについて確認しておきましょう。

[ポイント1]労災保険料率
 労災保険料率は、平成21年4月1日改定の料率から変更されていないため、平成23年度においても従前と同じ料率を適用することとなります。具体的な料率については厚生労働省のホームページで確認することができます。

■参考リンク
厚生労働省「労災保険率表」
http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/daijin/hoken/980916_4.htm

[ポイント2]雇用保険料率
 雇用保険料率は、平成22年4月1日付で改定されましたが、今年度は変更されていません。具体的には下表の料率となります。


事業の種類雇用保険率事業主負担率被保険者負担率
一般の事業15.5/1,0009.5/1,0006/1,000
農林水産清酒製造の事業17.5/1,00010.5/1,0007/1,000
建設の事業18.5/1,00011.5/1,0007/1,000

[ポイント3]労働保険料の対象となる賃金
 労働保険料の計算と元となる賃金は、賃金、給与、手当、賞与など名称に関わらず、労働の対償として事業主が労働者に支払うすべてのものを指します。したがって、基本給、役職手当などの固定的な手当、残業手当はもちろんのこと、非課税である通勤手当や賞与も含まれます。ただし、結婚祝金など、労働の対償ではなく恩恵的に支払われるものについては含まれません。

[ポイント4]雇用保険加入対象者の確認
 雇用保険に加入すべき者の要件はここ数年、改正が繰り返されました。現在は31日以上引き続き雇用されることが見込まれ、1週間の所定労働時間が20時間以上の者となっています。年度更新の機会に、適正加入がされているか確認しておきましょう。

[ポイント5]高年齢者の雇用保険料の免除
 雇用保険に加入している被保険者のうち、保険年度の初日(4月1日)に満64歳以上の者は、「免除対象高年齢労働者」と呼ばれ、その保険年度からの雇用保険料を免除されることとなっています。平成22年度(確定保険料)から免除される者は昭和21年4月1日までに生まれた者、平成23年度(概算保険料)から免除される者は昭和22年4月1日までに生まれた者となります。

[ポイント6]出向者の労災保険
 出向者については、労災保険は出向先で、雇用保険は出向元で加入することとなります。賃金が出向元で支払われている場合であってもこの取扱いは適用されます。したがって、出向者を受け入れている企業は出向元に出向者の賃金額を確認し、忘れずに保険料の計算に含めなければなりません。なお、派遣労働者については労災保険、雇用保険ともに派遣元で加入することとなっています。

[ポイント7]労働保険料の分割払い
 労働保険料は原則として一括で納付することとされていますが、概算保険料の額が40万円以上(労災保険・雇用保険のみ加入の場合は20万円以上)の場合には3回に分けて納付することができます。分納した場合の平成23年度の納付期限は、第1期が7月11日、第2期が10月31日、第3期が1月31日となっています。なお、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している場合には、概算保険料の額に関わらず分割して納付することができます。


 主なポイントは以上のとおりとなります。より具体的な内容については当事務所までご相談を頂ければと思います。
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。