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【人事労務ニュース】 ガソリン価格の高騰に対応するマイカー通勤者の通勤手当の設定方法

 近年、新興国の需要の増加や国際的な投機マネーの流入などによりガソリン価格の変動幅が大きくなっています。石油情報センターの調査によれば、2011年5月16日時点のレギュラーガソリン全国平均価格は151円10銭となっており、多くの企業ではマイカー通勤者から通勤手当の引き上げを希望する声が多く聞かれるようになっているのではないでしょうか。そこで今回はマイカー通勤者の通勤手当の設定方法について取り上げます。

 マイカー通勤者の通勤手当の計算には様々な方法がありますが、近年のガソリン価格の変動という環境を前提として考えれば、「往復通勤距離×月平均所定労働日数×ガソリン価格÷平均燃費」といった算式に基づき、ガソリン単価の変動に対応して実費分を確実に支給するルールを採用することが合理的でしょう。それではこの計算式の各要素について見ていくこととします。

1.往復通勤距離
 通勤距離については、自宅と勤務先の間の距離を計算することになりますが、(1)直線距離と(2)実測距離のいずれを適用するか決めておく必要があります。かつては実測距離を測定することが難しかったことから直線距離を適用する例が多く見られましたが、近年はインターネット上の地図サービスで簡単に実測距離を調べることができることから、実測距離に基づき、通勤手当を計算することが多くなっています。

2.月平均所定労働日数
 通勤手当計算の基となる労働日数については、通常、月平均所定労働日数を用います。具体的には「年間所定労働日数÷12ヶ月」で計算します。

3.ガソリン価格
 ガソリン価格については、会社の契約スタンドのガソリン単価を適用するのがもっとも手軽ですが、調査機関から公表されている統計を利用することも透明性の確保という点では有効です。以下の2つの統計調査はインターネット上で公開されていますので、手軽に活用することができます。

(1)石油情報センター「給油所石油製品一般小売価格週次調査」
  各都道府県毎のガソリン価格が毎週発表されています。なお、20111年5月16日時点の最新データではレギュラーガソリンの全国平均は151.1円となっています。
http://oil-info.ieej.or.jp/price/price_ippan_kyuyujo_syuji.html

(2)総務省「小売物価統計調査」
  小売物価統計調査はガソリン価格だけではなく、消費生活において重要な商品の小売価格やサービスの料金を全国規模(81都市)で毎月調査されているものです。
http://www.stat.go.jp/data/kouri/3.htm

4.平均燃費
 ガソリン自動車の平均燃費については、国土交通省の「自動車燃費一覧」という資料が毎年発表されており、2011年3月の最新データではガソリン車の平均燃費は17.8km(10・15モード)となっています。もっとも現実の燃費はこの統計よりも悪いというのが一般的な認識ですので、実際にはリッター10km程度で設定している企業が多いものと思われます。
http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_mn10_000002.html


 近年はガソリン価格の変動が大きく、マイカー通勤をしている従業員からの不満が出やすい環境でもありますので、このタイミングでより合理的な支給額計算ルールを整備することをお勧めします。なお、通勤費の改定ですが、毎年4月など改定時期を設定し、定期的に見直すと良いでしょう 。 


 
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。