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【人事労務ニュース】 東日本大震災の影響による休業等においても雇用調整助成金が活用できます

 東日本大震災は、被災地からの部品の供給停止や原子力発電所事故の影響による計画停電の実施等により、自動車関連産業等を中心に操業の目処が立たず、従業員の休業を行わざるを得ないケースが急増しています。こうした休業を実施する場合には従業員に対し、原則として平均賃金の60%以上の休業手当の支払いが必要となりますが、先行きが不透明な中でこうした支払いが先行する状況というのは経営者にとって大きな不安材料ではないでしょうか。こうした企業を支援するため、先日、雇用調整助成金および中小企業緊急雇用安定助成金(以下、2つの助成金をまとめて「雇用調整助成金」という)の制度改正が実施され、今回の震災の影響により企業が休業等を実施する場合に助成金が支給されることとなりました。以下ではこの制度の概要についてお伝えします。

[雇用調整助成金とは]
 雇用調整助成金は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員の雇用を維持するために、一時的に休業、教育訓練または出向を実施する際、従業員に支払われる休業手当等の一部を助成するという制度です。今回の東日本大震災の影響により事業活動の縮小を余儀なくされ、休業等を実施した場合には、その休業手当等の負担相当額の3分の2(中小企業の場合は5分の4)が助成されます。

[受給における注意点]
 雇用調整助成金は経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対して支給される助成金ですので、事業所の倒壊や生産設備の損壊等、地震の直接的な影響によるもの、避難勧告や退避指示等法令上の制限を理由とするものは助成対象となりません。なお、このような事情により休業をせざるを得ない場合は、原則として企業に賃金の支払い義務はありません。この場合、従業員には雇用保険の特例措置が適用され、実際に離職していなくとも失業手当が支給される場合があります。

 一方、雇用調整助成金が受給できるのは以下のような場合となります。
①交通手段の途絶により従業員が出勤できない、原材料の入手や製品の搬出ができない、来客がないような場合
②事業所、設備等が損壊し、修理業者の手配や部品の調達が困難なため、早期の修復が不可能な場合

 今回の震災の影響が企業に与える影響は深刻なものがあり、多くの企業において長期間の操業停止や売上の減少が不可避の状況となっています。今後の事業の継続、そして従業員の雇用の確保のためにも、こうした助成金を上手に活用していきたいものです。なお、実際の助成金の受給にあたっては各都道府県の労働局がその窓口となりますが、支給日数や支給額の限度等細かな注意点もありますので、申請を検討される場合にはご遠慮なく、当事務所までお問い合わせください。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。