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【人事労務ニュース】 従業員の電子メールの内容を会社が閲覧・管理する際の注意点

 近年、従業員1人にパソコン1台という環境の会社も当たり前にあるようになりましたが、就業時間中に業務とは関係のないウェブサイトを閲覧したり、会社で付与している電子メール(以下、「メール」という)を私用の目的で使用するといった状況が、多くの職場において見られています。これは業務の生産性を阻害し、更にはコンピュータウイルスへの感染などのリスクもあることから、企業としては社員のパソコンの利用状況を確認(モニタリング)するなどの対策が求められます。しかし、そうした確認を行おうとする場合、従業員からプライバシーを理由に拒否されるという例が少なくありません。そこで、今回の人事労務ニュースでは、従業員の電子メールの内容やパソコンの使用状況を確認する際のポイントについて解説しましょう。

 社内のパソコンやネットワークは、企業が従業員に業務利用を目的として貸与もしくは使用を許可しているものです。よって、そもそも従業員はそのパソコン等を業務以外の目的に利用することはできません。またそれらは企業の所有物ですので、企業にはメールの内容等を確認する権限があります。ただし、何も制限なく会社が勝手にメールの内容を閲覧できるものではなく、その必要性が問われることになります。具体的には、就業時間中に私用メールのやり取りをしており、職務に専念していないことを確認することや、ウイルス感染の恐れがある違法なソフトを勝手にパソコンにダウンロードしていないかを確認するといったことが挙げられます。

 また、モニタリングは従業員の個人情報を直接取得することになることから、その取り扱いについては経済産業省からガイドライン(「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン(平成21年10月9日厚生労働省・経済産業省告示第2号)」が示されています。このガイドライン(37ページから38ページ)には「従業員の監督」に関する内容が記載されており、従業員のモニタリングを実施する上での留意点として、以下の4点が挙げられています。

[モニタリングを実施をする上での留意点]
・モニタリングの目的、すなわち取得する個人情報の利用目的をあらかじめ特定し、社内規程に定めるとともに、従業者に明示すること。
・モニタリングの実施に関する責任者とその権限を定めること。
・モニタリングを実施する場合には、あらかじめモニタリングの実施について定めた社内規程案を策定するものとし、事前に社内に徹底すること。
・モニタリングの実施状況については、適正に行われているか監査又は確認を行うこと。



 よって、パソコンのモニタリングを実施する場合については就業規則の中に根拠となる条文を定めておくとともに、企業としてはそもそも従業員に対して就業時間中は職務に専念すること、会社のメールを私用で使用しないことなどの注意喚起をしておくことが重要になります。

■参考リンク
経済産業省「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン(平成21年10月9日厚生労働省・経済産業省告示第2号)」
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/privacy/kaisei-guideline.pdf


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。