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【人事労務ニュース】 平成25年4月1日より障害者の法定雇用率が2.0%に引き上げられます

 企業には障害者の雇用の促進等に関する法律(以下、「障害者雇用促進法」という)に基づき、常用雇用する労働者数の一定割合の身体障害者または知的障害者を雇用する義務が課せられています(以下、「障害者雇用率制度」という)。この一定割合を示す率は「法定雇用率」と呼ばれていますが、この法定雇用率が平成25年4月1日より現状の1.8%から2.0%に引き上げられることとなりました。

 そもそも法定雇用率とは障害者雇用促進法により、「労働者(※)の総数に占める身体障害者・知的障害者である労働者(※)の総数の割合」を基準として設定されることになっており、少なくとも5年ごとに、この割合の推移を考慮して政令で定めることとなっています。今回の引き上げはこの規定に基づくものです。以下では障害者雇用に関して最低限押さえておきたいポイントについて解説します。
 ※労働者には失業中の者も含む。

1.障害者を雇用する義務の対象となる企業
 引き上げ後の法定雇用率2.0%で計算すると、常時雇用する労働者数が50人の企業で障害者1人(50人×2.0%=1人)を雇用することが義務づけられます。この計算の基礎となる常時雇用する労働者数には、週所定労働時間20時間以上30時間未満の短時間労働者も含まれることとなっており、計算上では短時間労働者1人を0.5人としてカウントします。そのため、正社員が20人、週所定労働時間20時間以上30時間未満のパートタイマーが60人がいる企業の場合、常時雇用する労働者数は50人(20人+60人×0.5=50人)となり、障害者を少なくとも1人は雇用する義務が生じることとなります。

 また、常用雇用する労働者数が50人以上の企業については、以下の2つの義務が課されます。
 (1)毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告すること
 (2)障害者雇用推進者を選任するように努めること

2.障害者雇用納付金制度の取扱い 
 障害者雇用率制度と併せて、障害者雇用を促進していくための障害者雇用納付金制度があります。これは、法定雇用率を下回っている企業から、不足する障害者の人数に応じた納付金を徴収し、法定雇用率を上回っている企業に対し助成金等を支給するという制度です。現在は、常時雇用する労働者数が200人超の企業が制度の対象となっています。障害者雇用納付金制度においても平成25年4月1日より新しい法定雇用率が適用され、実際には平成26年4月1日から平成26年5月15日までの間に申告する分(平成25年4月から平成26年3月までの申告対象期間)から引き上げられた法定雇用率を適用することとなります。

 法定雇用率の引き上げは、既に障害者雇用が義務づけられている企業についても雇用すべき障害者数が増えるといった影響があります。そのため、障害者の雇用確保に向けて、早めに採用活動を始めておくことが望まれます。

■参考リンク
厚生労働省「障害者雇用率制度」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha/04.html

 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。