【人事労務ニュース】 平成24年度から変更となる雇用保険料率および労災保険率
労働保険(雇用保険・労災保険)の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日の1年間を単位とし、労働者に支払われる賃金の総額に保険料率を乗じて算出します。この保険料率の改定は定期的に行われますが、平成24年度は雇用保険料率・労災保険率共に、以下のとおり改定されます。
1.雇用保険料率
雇用保険とは、労働者の生活や雇用の安定を目的としており、労働者が失業したときや育児休業等の休業をしたとき、また教育訓練を受けたときなどに給付が受けられるものです。雇用保険料率は給付にかかる受給者人数や積立金の状況に応じて見直されますが、平成24年度については昨年度から引き下げられ、表1のとおりとなりました。
表1 平成24年度の雇用保険料率
事業の種類 労働者負担 事業主負担 合計 一般の事業 5/1,000
(6/1,000)8.5/1,000
(9.5/1,000)13.5/1,000
(15.5/1,000)農林水産
清酒製造の事業6/1,000
(7/1,000)9.5/1,000
(10.5/1,000)15.5/1,000
(17.5/1,000)建設の事業 6/1,000
(7/1,000)10.5/1,000
(11.5/1,000)16.5/1,000
(18.5/1,000)
※( )は平成23年度の保険料率
2.労災保険率
労災保険とは、業務上の災害や通勤途上の災害により、労働者がケガをした場合などに必要な給付が受けられるものです。労災保険率は、業務災害発生率を基に原則3年ごとに見直されることになっており、平成24年度はその見直しのタイミングに当たります。見直しの結果、55の業種のうち、引き下げとなる業種、据え置きとなる業種、引き上げとなる業種と業種により分かれていますが、全体の平均では平成23年度と比べ1,000分の6の引き下げとなりました。平成24年度の労災保険率は表2のとおりです。
表2 平成24年度の労災保険率
事業の種類の分類 事業の種類 平成23年度 平成24年度 林業 林業 60/1,000 60/1,000 漁業 海面漁業(定置網漁業又は海面魚類養殖業を除く。) 32/1,000 20/1,000 定置網漁業又は海面魚類養殖業 41/1,000 40/1,000 鉱業 金属鉱業、非金属鉱業(石灰石鉱業又はドロマイト鉱業を除く。)
又は石炭鉱業87/1,000 88/1,000 石灰石鉱業又はドロマイト鉱業 30/1,000 19/1,000 原油又は天然ガス鉱業 6.5/1,000 5.5/1,000 採石業 70/1,000 58/1,000 その他の鉱業 24/1,000 25/1,000 建設事業 水力発電施設、ずい道等新設事業 103/1,000 89/1,000 道路新設事業 15/1,000 16/1,000 舗装工事業 11/1,000 10/1,000 鉄道又は軌道新設事業 18/1,000 17/1,000 建築事業(既設建築物設備工事業を除く。) 13/1,000 13/1,000 既設建築物設備工事業 14/1,000 15/1,000 機械装置の組立て又は据付けの事業 9/1,000 7.5/1,000 その他の建設事業 19/1,000 19/1,000 製造業 食料品製造業(たばこ等製造業を除く。) 6.5/1,000 6/1,000 たばこ等製造業 5.5/1,000 6/1,000 繊維工業又は繊維製品製造業 4.5/1,000 4/1,000 木材又は木製品製造業 15/1,000 13/1,000 パルプ又は紙製造業 7/1,000 7.5/1,000 印刷又は製本業 4.5/1,000 3.5/1,000 化学工業 5/1,000 5/1,000 ガラス又はセメント製造業 7.5/1,000 7.5/1,000 コンクリート製造業 14/1,000 13/1,000 陶磁器製品製造業 18/1,000 19/1,000 その他の窯業又は土石製品製造業 26/1,000 26/1,000 金属精錬業(非鉄金属精錬業を除く。) 7/1,000 6.5/1,000 非鉄金属精錬業 8.5/1,000 7/1,000 金属材料品製造業(鋳物業を除く。) 7.5/1,000 7/1,000 鋳物業 19/1,000 17/1,000 金属製品製造業又は金属加工業(洋食器、刃物、手工具又は
一般金物製造業及びめつき業を除く。)11/1,000 10/1,000 洋食器、刃物、手工具又は一般金物製造業(めつき業を除く。) 7.5/1,000 6.5/1,000 めつき業 6/1,000 7/1,000 機械器具製造業(電気機械器具製造業、輸送用機械器具製造業、
船舶製造又は修理業及び計量器、光学機械、時計等製造業を除く。)6.5/1,000 5.5/1,000 電気機械器具製造業 3.5/1,000 3/1,000 輸送用機械器具製造業(船舶製造又は修理業を除く。) 5/1,000 4.5/1,000 船舶製造又は修理業 23/1,000 23/1,000 計量器、光学機械、時計等製造業(電気機械器具製造業を除く。) 3/1,000 2.5/1,000 貴金属製品、装身具、皮革製品等製造業 4/1,000 4/1,000 その他の製造業 7.5/1,000 7/1,000 運輸業 交通運輸事業 5/1,000 4.5/1,000 貨物取扱事業(港湾貨物取扱事業及び港湾荷役業を除く。) 11/1,000 9/1,000 港湾貨物取扱事業(港湾荷役業を除く。) 12/1,000 11/1,000 港湾荷役業 17/1,000 16/1,000 電気、ガス、水道又は
熱供給の事業電気、ガス、水道又は熱供給の事業 3.5/1,000 3/1,000 その他の事業 農業又は海面漁業以外の漁業 12/1,000 12/1,000 清掃、火葬又はと畜の事業 13/1,000 13/1,000 ビルメンテナンス業 6/1,000 5.5/1,000 倉庫業、警備業、消毒又は害虫駆除の事業又はゴルフ場の事業 7/1,000 6.5/1,000 通信業、放送業、新聞業又は出版業 3/1,000 2.5/1,000 卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業 4/1,000 3.5/1,000 金融業、保険業又は不動産業 3/1,000 2.5/1,000 その他の各種事業 3/1,000 3/1,000 船舶所有者の事業 船舶所有者の事業 50/1,000 50/1,000
労災保険料は全額事業主負担となっていますが、雇用保険料は労働者負担分があります。4月分の給与から控除する保険料については料率を変更して計算する必要がありますので、注意しましょう。
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。