お知らせ

【人事労務ニュース】 出産・育児休業の際に受給することができる社会保険等の給付

 先月、厚生労働省より「平成22年度 雇用均等基本調査」が発表になりました。この調査は、男女の雇用均等問題に係る雇用管理の実態を把握することを目的として毎年実施されているものです。この中の「育児休業制度等に関する事項」に関する調査結果を見ると、女性の育児休業者割合(※)は、83.7%と制度がよく浸透され、利用されていることが分かります。

※平成21年4月1日から平成22年3月31日までの1年間に在職中に出産した女性のうち、平成22年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む)の割合

 出産および育児に関しては様々な法整備がなされており、出産から原則子が1歳になるまでは、労働基準法で規定される産前産後休暇や育児介護休業法で規定される育児休業等、一定の休暇・休業が認められています。また出産をした際や育児のために休暇・休業している期間については社会保険制度から様々な給付が受けられることになっています。そこで本日は、この給付の概要について解説しておきましょう。

1.出産手当金
 健康保険の被保険者である従業員が出産のため会社を休み、給料を受けることができないときに健康保険から支給されるものです。 健康保険の被保険者である従業員が出産のため会社を休み、給料を受けることができないときに健康保険から支給されるものです。
[支給される期間]
  出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産の予定日)以前42日目(多胎妊娠の場合は98日目)から、出産の日の翌日以後56日目までの範囲内で会社を休んだ期間について支給されます。ただし、休んだ期間にかかる分として、出産手当金の額より多い給料が支給される場合は、出産手当金は支給されません。
[出産が予定より遅れた場合]
  予定日より遅れて出産した場合は、支給期間が出産予定日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産日後56日の範囲内となっていますので、実際に出産した日までの期間も支給されることになります。たとえば、実際の出産が予定より4日遅れたという場合は、その4日分についても出産手当金が支給されます。
[支給される金額]
  1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額が支給されます。会社を休んだ期間について、給料が支給される場合は、その給料の額が差し引かれた額が支給されます。

2.出産育児一時金
 出産育児一時金は、被保険者が出産したときに1児につき42万円(全国健康保険協会で、産科医療補償制度に加入している医療機関等で出産する場合)が健康保険から支給されるものです。以前は、一旦、被保険者が立て替えた後、改めて保険者に請求する方法で支給されていましたが、現在では、保険者から医療機関等へ支払われる直接支払制度を利用するケースが一般的となっています。なお、1.の出産手当金は被保険者のみへ支給されるものですが、この出産育児一時金は、被扶養者が出産した場合にも家族出産育児一時金として支給されます。

3.育児休業給付
 育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が育児休業を取得するときに支給されるものです。
[支給される期間]
  原則として、被保険者が養育する子が1歳になるまでの期間となっています。ただし、養育する子の父母がともに育児休業を取得するパパママ育休プラス制度を利用する場合には1歳2ヶ月まで、保育所における保育の実施が行われないなどにより育児休業を延長する場合には1歳6ヶ月までといった措置が設けられています。
[支給される金額]
  育児休業給付金の支給額は、支給対象期間(1ヶ月)あたり、原則として休業開始時賃金日額×支給日数の40%(当分の間は50%)相当額です。休業開始時賃金日額とは、育児休業開始前に支払われた6ヶ月の給料を180で割った額です。


休暇・休業期間については給料の支払いを行わないという会社が多いと思います。対象者がこのような社会保険制度をスムーズに利用できるよう、対応することが求められるでしょう。

■参考リンク

厚生労働省「平成22年度雇用均等基本調査」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-22.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。