【医療福祉ニュース】 老健利用者の在宅復帰のための調査研究
厚生労働省の社会保障審議会、介護給付費分科会の3月27日の会合において、「介護老人保健施設の在宅復帰支援に関する調査研究事業(結果概要)」が公表されました。
これは、介護老人保健施設(以下「老健」)3,861施設を対象としたアンケート調査の結果と、在宅復帰状況の異なる7施設へのヒアリング調査をまとめたものです。
結果の概要は以下のとおりです。
(1)施設の特性と在宅復帰
在宅復帰率が50%超の施設は15.8%。一方で、在宅復帰率10%以下は26.0%、10%超20%以下は18.3%となっています。
同一・関連法人で訪問リハ等の訪問サービスを運営する施設、入所時のアセスメントを積極的に行う施設、居宅サービスが充足している地域(居宅サービス費用が高い地域)の施設においては、在宅復帰率、ベッド回転率が高い施設が多くなる傾向が見られました。
(2)利用者の属性と在宅復帰
入所者に占める「退所見込あり」の人の割合の平均は26.2%、「退所見込なし」の人の占める割合の平均は53.5%となりました。
退所見込のない入所者(本人の状態像が原因で退所困難な入所者)は、要介護度が高い人、認知症が重度の人、常食を摂取できない人の割合が高くなっています。
自宅退所者は独居の割合が低く、65歳未満の同居者がいる割合が高くなっています。
(3)老健退所後の状況
自宅退所者の12%、医療機関退所者の35%は退所後1〜3か月以内に元の老健に戻っているという結果になりました。医療機関から再入所者した人(過去に同一施設に入所実績あり)の退所先は、自宅6%、医療機関71%であり、自宅復帰者が少ないのが特徴的です。
(4)在宅復帰支援の現状と課題
介護老人保健施設サービス費の在宅強化型を算定するのは7.3%。平成24年度改定を受けて在宅復帰支援に熱心な施設が増えていますが、一方で現在「在宅復帰支援に熱心とはいえない」と回答した施設も33.2%あります。