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【医療福祉ニュース】 分煙では効果なし。厚労省専門委員会で「屋内全面禁煙」を呼びかけ

 厚生労働省の厚生科学審議会は、6月24日、「たばこの健康影響評価専門委員会」の第7回会合を開催しました。

 この中で、産業医科大学の大和浩教授より、「喫煙・受動喫煙の有害性」について解説が行われました。

 大和教授は、「喫煙・受動喫煙の曝露で病気が増加、除去で病気が減少し、かつ、それぞれ、量・反応関係が明確に証明されているのは「タバコ煙」だけである」ことについて、肺がん、心血管系疾患、糖尿病を例に解説しています。 

 受動喫煙による日本人のエビデンスは、夫による家庭内曝露で非喫煙の妻が全肺がんを発症する率は、夫が元喫煙者の場合に1.12倍、現喫煙者の場合は1.34倍、夫の喫煙本数が20本以上で1.02倍、20本以上で1.47倍。肺腺がんにおいては、夫が元喫煙者の場合に1.50倍、現喫煙者の場合は2.03倍、夫の喫煙本数が20本以上で1.73倍、20本以上で2.20倍。

 その他、世界における各研究報告より

  ・受動喫煙により乳がんのリスクが1.15倍に上昇
  ・職場と家庭の受動喫煙で心血管疾患が1.25倍に増加
  ・夫の喫煙本数が多いほど妻の冠動脈疾患が増加し、喫煙する‪夫との同居が長いほど妻の冠動脈疾患が増加。

等の統計を紹介し、受動喫煙の曝露に安全域は存在しないとして、屋内全面禁煙の必要性を指摘しました。

 

 この「屋内全面禁煙」は、2012年時点で世界で43か国、2014年にはロシア、2015年には韓国が実施し、アメリカでは50州のうち26州が実施し、条約により、医療施設、教育施設、官公庁、職場、公共交通機関、レストラン、カフェ、居酒屋すべてにおいて全面禁煙となっています。

 法律による屋内全面禁煙の効果としては、小児ぜんそくが減少した他、急性心筋梗塞、狭心症、突然死、脳卒中でも国民の病気の減少が見られるとの研究結果が紹介されました。

 その上で大和教授は、「分煙(喫煙室)では、受動喫煙を防止できない」ことを指摘し、喫煙室のドア開閉に伴う漏出、喫煙者の退出に伴う漏出、喫煙者の肺にたまったタバコ煙の持ち出し、掃除業者、飲食店店員の受動喫煙等の問題点をデータとともに明らかにし、東京オリンピックも視野にいれつつ、屋内完全禁煙の必要性を説いています。


 詳細は、以下のサイトでご覧いただけます。


厚労省「第7回たばこの健康影響評価専門委員会」