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【労働経済ニュース】 英会話講師の自殺、「持ち帰り残業」で労災認定 金沢労基署

 金沢市で2011年に20代の英会話学校講師の女性が自殺したのは、自宅で長時間労働する「持ち帰り残業」が原因だったとして、金沢労働基準監督署が労災認定していたことが分かりました。

 遺族の代理人弁護士によると、女性は2011年3月下旬から、岡山市に本社を置くこども向け英会話専門校の金沢校で勤務していましたが、6月4日に金沢市内の自宅マンションから飛び降り、自殺しました。女性は自殺する直前、親族や知人に、上司から「仕事の段取りが悪すぎる」と叱責されていたことや、自宅でレッスン用の教材作成に追われ、短時間しか寝られないつらさをメールや電話で訴えており、遺族が2013年1月に労災認定を申請しました。

 女性は一人暮らしだったため、自宅での残業時間数を労基署が推定しました。労基署は残っていたメールや関係者の話から、女性は業務命令で英単語を説明するイラストを描いた「単語カード」を2,000枚以上自宅で作っており、持ち帰り残業があったとしました。残業時間は労基署員が実際にカードを作成して時間を計測し、自宅で月に80時間程度の残業をしていたと結論付け、この結果、会社での残業を合わせると恒常的に月100時間程度の時間外労働があり、さらに上司から怒られる心理的負担も加わり、うつ病を発症していたとして、労災を認定しました。

 労基署によると、持ち帰り残業は自宅での作業実態の把握が困難なため、認定されるのは珍しいということです。