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【労働経済】 年次有給休暇 クイズ不正解で取得させず

「自動販売機事業の大手企業の支店長が、クイズに正解しないと年次有給休暇を取得できないとのメールを部下に送っていたことがわかった」といった報道が多数あり、話題になっています。

この事件を同社と争っている労働組合・ブラック企業ユニオンが公表したことで明らかになりました。

同労働組合によると、 支店長は、2016年、複数の部下に、クイズに正解しないと年次有給休暇を取得できないとのメールを送信。
そのクイズは自動販売機の売り上げが高い駅を問うもので、「全問正解で有給チャンス」、「不正回答は永久追放」などと書かれていて、結局正解者はなく、誰も年次有給休暇を取得することができなかったとのことです。

年次有給休暇の権利は、継続勤務の要件(初回6か月、以後1年ごとに判断)と、出勤率の要件(8割以上)を満たせば当然に発生するものです。

取得時季についても、理由を問わず、基本的には、労働者が請求(時季指定)することができることになっています。

政府は、年次有給休暇の取得率のアップに向け、働き方改革関連法による労働基準法の改正において、年次有給休暇の時季指定義務や年次有給休暇管理簿に関する規定を新設しました(これらの規定は、2019年4月から施行されます)。

上記のような事例は、時代に逆行するような行為で、現行の労働基準法にも違反します。

その支店長に、労働基準法のクイズを出題する必要がありそうですね。

【参考】2019年4月から施行される年次有給休暇に関する規定

① 時季指定義務
使用者は、年次有給休暇の日数が10日以上の労働者に対し、年次有給休暇のうち5日については、基準日から1年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない(なお、労働者の時季指定又は計画的付与制度により年次有給休暇を与えた場合は、当該与えた日数分については、使用者は時季を定めることにより与えることを要しない)。

② 年次有給休暇管理簿
使用者は、労働者に年次有給休暇を与えたときは、時季、日数及び基準日を労働者ごとに明らかにした書類(年次有給休暇管理簿)を作成しなければならない(労働者名簿及び賃金台帳とあわせて調製することができることも可能)。→今後、厚生労働省令で規定


※今後は、勤怠の管理と合わせて、年次有給休暇を管理する機能を備えたシステムが必要となっていきそうです。