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【人事労務ニュース】 2013年9月より特別加入制度の給付基礎日額が拡大されました

 労働者災害補償保険(労災保険)は、その制度名の通り、労働者の業務または通勤による災害に対して保険給付を行う制度です。しかし、労働者以外でも、業務の実情、災害の発生状況などからみて、労働者に準じて保護することが適当であると認められる者も実際には多数おり、これらの者に対しては、特別に労災保険の制度に任意加入ができることになっています。この任意加入制度を特別加入制度と呼んでいます。

 この制度を利用した特別加入者が、労災保険の対象となる災害に遭い、保険給付を受けるときには、特別加入者が事前に選択した給付基礎日額に基づき行われます。この給付基礎日額の幅が、2013年9月より拡大されましたので、今回は特別加入制度が利用できる者の要件と拡大された具体的内容を確認しておきましょう。

1.特別加入制度が利用できる主な要件
 特別加入できる者としては、中小企業を経営する中小事業主等、個人タクシーなど労働者を使用せず事業を行ういわゆる一人親方、海外に出向し国内の労災保険が適用対象外となる海外派遣者等があります。ここでは、よく質問のある中小企業事業主等と海外派遣者の範囲についてとり上げます。

 [中小企業事業主等の要件]
 中小企業事業主等については、以下の(1)、(2)のいずれかの要件を満たす者となります。
(1)下表に定める数の労働者を常時使用する事業主(事業主が法人その他の団体であるときは、その代表者)
(2)労働者以外で?の事業主の事業に従事する者(事業主の家族従事者や、中小事業主が法人その他の団体である場合の代表者以外の役員など)

 

 [海外派遣者の要件]
 海外派遣者については、以下の(1)、(2)のいずれかの要件を満たす者となります。
(1)日本国内で事業(有期事業を除く)を行う事業主から派遣されて、海外支店、工場、現場、現地法人、海外の提携先企業など海外で行われる事業に従事する労働者
(2)日本国内で事業(有期事業を除く)を行う事業主から派遣されて、海外にある中小規模の事業(下表)に従事する事業主およびその他労働者以外の者

中小企業と認められる規模
業種
労働者数
金融業・保険業・不動産業・小売業
50人以下
サービス業・卸売業
100人以下
上記以外の業種
300人以下

 


  なお、中小事業主等が特別加入するためには、雇用する労働者について労働保険関係が成立しており、労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託している必要があります。

2.2013年9月から拡大された給付基礎日額
 2013年8月までは給付基礎日額を3,500円から20,000円の13区分より選択することになっていましたが、2013年9月より22,000円、24,000円、25,000円の3区分が追加されました。これにより今後、特別加入する者については拡大された給付基礎日額の中からも選択することができます。

 一方、既に特別加入している者については、来年度(平成26年度)からこれらの給付基礎日額に変更することができます。なお、変更できるタイミングとしては、年度末(平成26年3月18日〜3月31日)または労働保険の年度更新期間(平成26年6月1日〜7月10日)の2回があり、手続としては変更申請書を、労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長あてに提出する必要があります。

■参考リンク
厚生労働省「特別加入者の給付基礎日額の選択の幅が平成25年9月1日から広がり、新たに22,000円、24,000円、25,000円が選択できるようになります。」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/130807-1.pdf

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。