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【人事労務ニュース】 10月から始まった国民年金の後納制度

 

 平成24年4月から7月までの国民年金保険料の納付率は54.2%となり、依然、納付率の低下が止まらない状況になっています。厚生労働省では強制徴収の実施などを行って納付率を上げることに努めていますが、効果的な対応とはなっていないようです。このような中、納付忘れがある国民年金保険料を10年分まで遡って納付できる「後納制度」が平成24年10月1日から始まりました。以下ではその内容を見ていくことにしましょう。

1.国民年金保険料の納付と後納制度
 通常、国民年金保険料は毎月14,980円(平成24年度)を翌月末日までに納付することになっています(※)。この納付を行わなかった場合には、これまでも過去2年分まで遡って納付することができましたが、平成24年10月1日よりこの期間が延長され、10年分まで遡って納付できることになりました。この後納制度を利用することで、将来的な年金額が増額することや年金の受給資格が得られるといったメリットを受けることができます。
※この他、前納の制度もあります。

2.後納制度が利用できる人と後納する場合の額
 後納制度が利用できる人は以下のような人であり、既に老齢基礎年金を受給している人は利用できません。


(1)20歳以上60歳未満で、過去10年以内に納め忘れや未加入の期間がある人
(2)60歳以上65歳未満で、任意加入中に納め忘れがある人
(3)65歳以上で年金受給資格がなく、任意加入中の人など

 納付額は、納付していない年度により異なり、平成22年度分より以前の分を納付する場合には加算額がつくことになるため、納付額は当時の保険料額に加算額を加えた後納保険料額となります。なお、この加算額は毎年度、改定されます。

年度当時の保険料額加算額後納保険料額
平成14年度13,300円1,640円14,940円
平成15年度13,300円1,420円14,720円
平成16年度13,300円1,210円14,510円
平成17年度13,580円980円14,560円
平成18年度13,860円750円14,610円
平成19年度14,100円540円14,640円
平成20年度14,410円350円14,760円
平成21年度14,660円180円14,840円
平成22年度15,100円加算なし15,100円

3.後納制度が利用できる期間
 この後納制度は、平成24年10月1日から平成27年9月30日までの3年に限定された措置です。更に、納付できる期限は月ごとに到来するため、平成14年12月分の保険料の納付は平成24年12月31日までとなります。時間が経つにつれ、より古い未納期間分は納付できないことになりますので、後納制度を利用する場合にはなるべく早めに対応しましょう。

4.後納制度を利用する際の手続
 老齢年金を受給するためには、一部の免除制度利用者等を除き、国民年金に一定期間加入し、国民年金保険料を納付する必要があります。この期間は現在25年となっていますが、平成27年10月より10年に短縮されることが決定しています。これは、納付率が低下することによって老齢年金を受給できない人が増加することへの対策の一つです。後納制度と併せてこのような措置が取られていますが、受給資格を満たすとともに、老齢年金額を増やすためにも、未納期間がある人は後納制度を積極的に利用することが望まれます。

 なお、日本年金機構では、後納制度の利用が可能と思われる人に対し、平成24年8月から、「国民年金保険料の納付可能期間延長のお知らせ」を、順次送付しており、従業員の中にはそれを受け取った方もいらっしゃるかもしれません。従業員から問い合わせがあった際には、後納制度の意味を伝え、将来も見据えて制度を利用するように促しましょう。
 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。