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【人事労務ニュース】 非正規労働者の雇用拡大と能力向上を支援する「若者チャレンジ奨励金」が創設されました

 非正規労働者の雇用の安定は国の重要課題となっていますが、そのなかでも特に35歳未満の若者の雇用については喫緊に解決すべき課題と位置づけられています。そこで先日、国は「若者チャレンジ奨励金」という新たな助成金を創設しました。久々の大型助成金ですので、今回はこの概要について紹介しましょう。

 

[概要] 
 若者チャレンジ奨励金は35歳未満の非正規雇用の若者を自社の正社員として雇用することを前提に、自社内での実習(OJT)と座学(Off-JT)を組み合わせた訓練を実施した場合に、奨励金が支給されるという制度になります。手続きとしては、事前に訓練実施計画を作成し、原則として訓練開始日の1ヶ月前までに提出しておくことになっています。また、この奨励金は正社員としての雇用経験などが少なく職業能力形成機会に恵まれない若者を新たに有期契約労働者として雇い入れて訓練を実施する場合だけでなく、既に有期契約労働者等として雇用している若者に対し訓練を実施する場合であっても活用することができます。

[支給額] 
訓練奨励金:訓練受講者1人につき1ヶ月当たり15万円
正社員雇用奨励金:訓練終了後、訓練受講者を正社員として雇用した場合、
             1人当たり1年経過時に50万円、2年経過時に50万円(計100万円)

 なお、1年度に計画することができる訓練の上限は、60人月※となります。また訓練期間は3ヶ月以上2年以下とされています。
※人月とは、(受講者数×訓練月数)の合計をいい、例えば3人に3ヶ月間の訓練を実施する場合には9人月(3人×3ヶ月)となります。

[訓練受講者の要件]
 35歳未満の若者であって、以下(1)(2)のいずれにも該当する者
(1)過去5年以内に訓練を実施する分野で正社員としておおむね3年以上継続して雇用されたことがない者などであって、登録キャリア・コンサルタントにより、若者チャレンジ訓練へ参加することが適当と判断され、ジョブ・カードの交付を受けた者
(2)訓練を実施する事業主と期間の定めのある労働契約を締結する者など
 なお、新規学校卒業予定者および新規学校卒業者は、原則として卒業日が属する年度の3月31日まで若者チャレンジ訓練の対象者として募集することができません。

[訓練の主な要件]

訓練内容自社内での実習(OJT)と座学(Off-JT)を組み合わせた訓練であって、全体の訓練時間にOJTの占める割合が1割以上9割以下であること。
訓練時間1ヶ月当たりに換算した訓練時間数が130時間以上であること。
訓練期間中の労働条件訓練受講者の訓練期間中の主要な労働条件(就業時間、休日および賃金形態)が訓練受講者を正社員として雇用する場合と同じであること。
訓練期間3ヶ月以上2年以下であること。
カリキュラム実習(OJT)と座学(Off-JT)のそれぞれについて、訓練科目名、実施内容、実施時間等が明確に示された訓練カリキュラムを作成すること。
ジョブ・カードジョブ・カード様式4(評価シート)を作成し、それによって訓練受講者の職業能力の評価を行うこと。

 OJTとOff-JTの両方またはどちらか一方について、実際に実施した時間数が計画した時間数の8割を下回る場合、この奨励金は支給されないことになっています。また、訓練実施期間において、訓練受講者は受講した訓練の内容を報告する日誌(訓練日誌)を作成しておく必要があります。

 

 今回の奨励金は若者の人材育成・定着を図っていく上で、非常に手厚い助成が受けられるようになっています。そのため、事業主としては早めにこのような奨励金が活用できないか検討しておきたいものです。なお、この奨励金は平成25年度末までの時限措置となっています。詳細については、最寄りの労働局または当事務所までお気軽にご連絡ください。

[参考リンク ]
厚生労働省「若者チャレンジ奨励金(若年者人材育成・定着支援奨励金)」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/shokugyounouryoku/career_formation/challenge/

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。