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【人事労務ニュース】 雇い入れ時の健康診断の対象者と実施項目

 4月の新入社員入社を控え、そろそろ入社案内を送られる企業も多いのではないでしょうか。従業員を新規で雇い入れる場合には、雇い入れ時の健康診断を実施することが求められています。そこで今回はその対象者と実施項目について確認しておきましょう。 

1.雇い入れ時の健康診断の対象者
 雇い入れ時の健康診断は常時使用する労働者を対象としており、正社員だけではなく、パートタイマーやアルバイトであっても、以下の要件のいずれにも該当する場合には実施する必要があります。

(1)期間の定めのない者や、契約期間が1年以上である者、契約の更新により1年以上使用されることが予定されている者、既に1年以上引き続き使用されている者 
(2)1週間の労働時間数が、その事業場の通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上である者

 雇い入れ時とは、雇い入れの直前または直後を指していますので、入社前に受診させることのほか、入社直後に受診させることも可能です。なお、健康診断の費用については、通達において、「法で事業者に健康診断の実施義務を課している以上、当然事業主が負担すべきものである」とされています。 

2.雇い入れ時の健康診断の実施項目
 健康診断の実施項目については定期健康診断の項目とほぼ同じで、以下のとおりとされています。

(1)既往歴及び業務歴の調査
(2)自覚症状及び他覚症状の有無の検査
(3)身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査 
(4)胸部エックス線検査
(5)血圧の測定
(6)貧血検査
(7)肝機能検査
(8)血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
(9)血糖検査
(10)尿検査
(11)心電図検査

 定期健康診断では、いくつかの項目について医師が必要でないと認めるときは省略することが可能ですが、雇い入れ時の健康診断については上記のすべての項目を実施する必要があります。ただし、医師による健康診断を受けた後、3ヶ月を経過しない者がその健康診断の結果を証明する書類を提出したときは、その項目については省略することが可能です。

 雇い入れ時の健康診断は定期健康診断と比べて実施率が低いと言われていますが、入社後の適正配置や入社後の健康管理に役立てるためにも確実に実施しておきたいものです。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。