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【人事労務ニュース】 被災者を雇用し、人材育成に取り組む中小企業事業主を対象とした「成長分野等人材育成支援事業」助成金

 雇用の拡大と労働者の能力向上を目的とし、「成長分野等人材育成支援事業」(平成24年3月31日までの暫定措置)という助成金制度が設けられていますが、平成23年7月26日より、被災者の雇用を促進するためにこの制度の拡充が行われました。そこで以下では、その内容について紹介しましょう。

[拡充の内容]
 今回の改正により、東日本大震災による被災者を新規雇用・再雇用した中小企業事業主について、業種を問わず対象となる労働者に職業訓練を行った場合、訓練費用の助成が行われることとなりました。なお、この職業訓練に限っては、労働者に仕事をさせながら訓練を行うOJTについても助成対象となります。

 対象となる事業主については、以下の1.または2.に該当する中小企業事業主となります。

1. 青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉、新潟、長野の各県のうち、災害救助適用地域(以下、「特定被災地域」という)に所在し、以前雇用していた労働者を再雇用し(※1)、以前とは異なる職種や職場環境の下で円滑に就業させるために、Off-JTのみ、またはOff-JTとOJTを組み合わせた職業訓練を行う事業主
※1 以前に雇用していた労働者で、平成23年3月11日以降同年7月10日までの間に離職した者を、雇用期間の定めのない労働者として再び雇い入れる場合をいいます(雇用保険の特例により休業していた労働者を復職させる場合を含む)。 

2. 新規に雇い入れた被災離職者等(※2)に、Off-JTのみ、またはOff-JTとOJTを組み合わせた職業訓練を行う事業主
※2 以下の(1)または(2)に該当する者であること
(1)平成23年5月1日以前に雇用期間の定めのない労働者として雇い入れた労働者であり、以下のアからウのすべてに当てはまる者
 ア 東日本大震災発生時に特定被災地域において就業していた
 イ 震災後に離職し、その後安定した職業についたことがない
 ウ 震災により離職を余儀なくされた
(2)特定被災地域に居住する平成24年3月以上卒業予定の新規学卒者

[支給額]
Off-JT…事業主が負担した訓練費用
OJT…対象者1人につき1時間あたり600円
1訓練コース当たり合計20万円(※)を上限とし、対象者1人当たり3コースまで助成対象になります。
※中小企業が大学院を利用した場合には、50万円を上限とします。

[被災者を対象とした訓練コースの例]
・以前雇用していた労働者を再雇用した場合(以前製造部門に従事していた労働者を同じ職種で再雇用するが、新たに生産管理業務にも従事させる場合)
コースA(Off-JT):在庫管理・品質管理基礎講習(生産計画立案の方法、在庫管理の方法、品質管理の方法)
コースA(OJT)  :生産管理実習(生産計画の立案、発注業務、棚卸業務、品質管理)

・被災離職者を新たに雇い入れた場合(被災地域で旋盤を使った簡単な部品加工を行っていた労働者を、別の事業者が新たに雇い入れ、汎用機の操作について技能を習熟させ、精度の高いより複雑な加工に従事させる場合)

コースA(Off-JT):実習(製図、測定、仕上げ) 
コースA(OJT)  :切削加工作業

コースB(Off-JT):旋盤実習(穴あけ、ねじ切り) 
コースB(OJT)  :切削加工作業

コースC(Off-JT):旋盤実習(段削り、外径・内径削り) 
コースC(OJT)  :切削加工作業


 上記の例以外にも厚生労働省のホーム―ページに訓練コースの例が紹介されていますので、以下の参考リンク先もあわせてご覧ください。また、この助成金を申請するためには、事前に職業訓練計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受ける必要があり、その他にも注意事項がありますので、詳細は当事務所もしくは最寄りの都道府県労働局までお問い合わせください。

■参考リンク

厚生労働省「東日本大震災による被災者を雇用し、その方の能力を高めたいときは」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/g-top.html


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。