【人事労務ニュース】 経済的な理由がある場合に利用できる国民年金保険料の免除制度
厚生労働省の発表によると平成23年度の国民年金保険料の納付率は58.64%と過去最低を更新し、公的年金制度への不信感は一向に収まる気配が見られません。ただし、この未納の中には所得が少ないなどの経済的な理由により納付ができない人も多く含まれています。そこで今回は、そうした場合において国民年金保険料の納付が免除される制度について取り上げましょう。
1.国民年金保険料の免除制度の概要
経済的な理由で保険料の納付が困難な場合には、申請することで国民年金保険料の免除を受けることができます。免除は所得額に応じて下表のように4段階が用意されており、免除された額に応じて将来の年金額が計算されることとなっています。
【免除額および年金額計算】
免除額 将来の年金額計算 全額 2分の1 4分の3 8分の5 半額 8分の6 4分の1 8分の7免除額については、本人・世帯主・配偶者の前年(1月から6月に申請する場合は、前々年)の所得で判断されます。この所得には、給与のほか退職金、不動産収入、事業によって得られた収入などすべての収入を含めて計算される所得で判断されます。
また、経済的な理由による免除以外にも、20歳から30歳未満の人が受けられる若年者納付猶予制度、学生が受けられる学生納付特例制度、退職したり、震災・風水害等の被災をした人が受けられる免除制度もあります。
2.免除制度の申請方法
国民年金保険料の免除を受けるためには、原則7月から翌年6月までを年度とする毎年度、市区町村役場に対して申請を行う必要(郵送での申請も可)があります。その際、保険料の免除等についての申請書と以下の添付書類が必要となります。なお、申請書は市区町村役場や年金事務所に備え付けられているほか、日本年金機構のホームページからダウンロードすることもできます。
【必要とされる添付書類】
・年金手帳など基礎年金番号が確認できる書類(写し可)
・申請時の住所がその年の1月1日時点の住所と異なる場合は、前年(または前々年)の所得を証明する書類
・退職した場合は、離職票の写し等の退職したことを確認できる書類
これらの免除については、いずれも申請を行わなければ利用できない制度となります。国民年金を未納のままにしていると、将来受け取る老齢年金はもちろん、障害や死亡といった不測の事態が生じたときに、障害年金や遺族年金を受け取れないことがあります。経済的な理由がある場合などには、このような制度の利用も検討したいものです。
[参考リンク]
日本年金機構「保険料の免除等について」
http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=3868