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【人事労務ニュース】 海外で治療を受けた際に健康保険から支払われる海外療養費

 企業の海外進出が急速に進む中、海外で働く人が増加しています。そこで今回は、海外赴任中に病気やケガにより、現地の医療機関で診療を受けた際の医療費の取扱いについて解説します。

1.海外療養費とは
 健康保険では、病気に罹ったり、ケガをした際、医療機関の窓口で健康保険証を提出することにより、原則として医療費の3割である自己負担額を支払うことで治療を受けることができます。しかし、海外での医療機関では健康保険証を使用することはできません。よって、その場合には一旦、医療費の全額を支払った上で、後日、申請により医療費の一部の払い戻しを受けることができます。これを海外療養費と呼びます。

2.海外療養費の支給額
 海外の医療機関で治療を受けた際の費用は、治療を受けた国やその治療内容によって異なります。そのため、この海外療養費では、日本国内の医療機関で同じ病気やケガを治療した場合にかかる医療費を基準に計算した額から、自己負担相当額を差し引いた額が支給されます(実際に海外で支払った額の方が低いときはその額が上限となる)。このように計算されるため、申請しても支給額が実際に支払った医療費に比べ低くなることがあるので、注意が必要です。また海外療養費は、治療等の費用を外貨で支払った場合は、支給決定される日の外国為替換算率によって円換算し、円で支給されることになっています。

3.海外療養費の申請方法
 海外療養費の申請には専用の申請用紙が用意されており、申請においては治療を受けた医師の証明が必要となります。この申請用紙に領収書や翻訳等を添付し提出します。場合によってはパスポートの写しの提出を求められることもあります。海外療養費を後日申請する場合には、海外の医師から証明をもらうためにやり取りをする必要がある(※)ため、事前に保険者から取り寄せたり、インターネットからダウンロードをしておくとよいでしょう。
 また、海外療養費は、海外で医療費の支払いをした日の翌日から数えて2年を経過すると、時効により申請ができなくなります。治療を受けた場合には、早めに申請をしましょう。
 ※全国健康保険協会での申請の場合の例

 海外療養費は 海外赴任のみではなく、海外旅行中の病気やケガでやむを得ず現地の医療機関で治療を受けた場合にも支給されます。ただし、はじめから治療目的で海外へ渡航した場合は支給されないことになっていますのご注意ください。

[参考リンク]
協会けんぽ「海外療養費について」
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/13,54413,94,151.html
 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。