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【人事労務ニュース】 業務上災害が発生した際に提出が必要となる労働者死傷病報告

 労災事故が発生した際には、通常、労災保険の給付手続きを行いますが、一定以上の労災事故については、労働者死傷病報告を提出することが事業主に義務づけられています。労働者死傷病報告の提出を故意に行わないこと、虚偽の報告を行うことは「労災かくし」と言われ、場合によっては書類送検となることもあります。今回は、この労働者死傷病報告の提出が必要な事故の範囲について解説します。

1.労働者死傷病報告の概要
 労働者死傷病報告は労働安全衛生法において、同様な労働災害を減らすための対策を検討することを目的として提出義務が課されています。労働者死傷病報告には、労働災害の程度により2種類の様式があり、死亡および休業4日以上の場合(様式第23号)と休業4日未満の場合(様式第24号)とに分かれます。提出期限は、死亡および休業4日以上の場合が遅滞なく、休業4日未満の場合が四半期ごとの翌月末日までとなっています。なお、提出先はいずれも管轄する労働基準監督署になります。

表 労働者死傷病報告の様式等
 死亡および
休業4日以上
休業4日未満
提出する
書類の種類
様式第23号様式第24号
提出期限遅滞なく1月から3月までに
発生した事故
4月30日まで
4月から6月までに
発生した事故
7月31日まで
7月から9月までに
発生した事故
10月31日まで
10月から12月までに
発生した事故
1月31日まで
提出先管轄労働基準監督署

2.労働者死傷病報告の提出に際して誤解しやすい点
 労働者死傷病報告は、以上のように労災事故があった際に提出すべきものであるため、休業4日未満で労災保険の休業補償給付を受けない場合であっても、提出する必要があります。労災保険の休業補償給付を受けたときに提出するものだという誤解があるため、注意が必要です。

 なお、労働者死傷病報告は業務上災害による休業の際に提出するものであり、通勤途上の災害による休業は含まれません。その他、派遣労働者が災害にあった場合は、派遣元事業主、派遣先事業主ともに管轄する労働基準監督署へ労働者死傷病報告を提出する義務があります。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。