お知らせ

【人事労務ニュース】 期間の定めのある労働者が離職した場合の失業等給付における離職区分の扱い

 雇用保険に加入していた人が離職し、失業等給付(基本手当)の受給をする場合には、その離職理由により、「通常の離職者」、「特定理由離職者」、「特定受給資格者」に区分され、基本手当の受給手続きを行うことになります。これらの区分のうち、特定理由離職者、特定受給資格者については、所定給付日数が手厚くなったり(注)、被保険者であった期間が短い場合であっても受給資格を得ることができるといった対応が行われることになっています。この3つの区分のうち、いずれに該当するかの最終的な判断は、離職理由に基づきハローワークが行うことになりますが、今回は特にトラブルになりやすい期間の定めのある労働契約(以下、「有期労働契約」という)が満了した場合の原則的な取扱いについて解説しておきましょう。
(注)通常の離職者と所定給付日数が変わらないこともあります。 
 

1.通常の離職者に該当するケース
 労働者が契約更新を希望せずに労働契約が満了した場合には、通常の離職者に該当します。

2.特定理由離職者に該当するケース
 労働者が契約更新を希望したにも関わらず、労働契約の更新がされず、有期労働契約が満了した場合には特定理由離職者に該当します(特定受給資格者に該当した場合を除く)。ただし、当初から契約の更新がないことが明示されていた場合には、基本的に特定理由離職者には該当せず、確約はないものの契約の更新または延長があることが明示されていることが特定理由離職者に該当する前提になっています。

3.特定受給資格者に該当するケース
 離職区分の判断において、以下の2つのケースは、雇用保険の基本手当の受給資格区分を判断する際に『「解雇」等により離職した者』に分類され、有期労働契約の満了時に特定受給資格者に該当することになっています。

(1)有期労働契約の更新により3年以上引き続き雇用された場合で労働契約が更新されなかった場合
 以下のいずれも該当する場合が対象になります。
 ・有期労働契約が更新され、雇用された時点から継続3年以上雇用されている
 ・労働契約の更新を労働者が希望していたにも関わらず契約更新がされない
 ※定年退職後の再雇用時に契約更新の上限が定められている場合等は該当しない
(2)有期労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合で更新されず離職した場合(?に該当した場合を除く)
 以下のいずれも該当する場合が対象になります。
 ・有期労働契約の締結に際し、契約の更新または延長を行う旨が雇入通知書等で明示されている
 ・労働契約の更新を労働者が希望していたにも関わらず契約更新がされない

 これらの区分を判断するときに重要となることが、(1)契約期間、(2)契約更新・延長に関する定め、(3)労働者の希望、となっています。有期労働契約は契約更新の手続きや契約更新等の意思確認があいまいになりがちですが、トラブル防止のためにも雇入通知書等に明記し、労働者の意思確認もしっかり行うようにしておきましょう。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。