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【人事労務ニュース】 採用段階・採用後の従業員が障害者であるかを把握・確認する際の注意点

 現在、すべての事業主は、法律で定める一定以上の割合で障害者を雇用する義務があります。しかし、採用段階や採用後に障害の有無を把握・確認する際には、プライバシー等に配慮することが求められます。そこで今回は、厚生労働省の定めた「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」に基づき、障害者の把握・確認する際の注意点について解説します。

1.採用段階で把握・確認する際の注意点
 採用決定前から障害者であることを把握している者を採用する場合は、採用決定後に利用目的等を明示した上で、本人の同意を得て、その利用目的等のために必要な情報を取得します。利用目的等とは、例えば障害者雇用状況の報告、障害者雇用納付金の申告、障害者雇用調整金または報奨金の申請に用いることが挙げられ、そのために必要な個人情報の内容を取得することになります。

2.採用後に把握・確認する際の注意点
 現在雇用している従業員が障害者であるかどうかを把握・確認する場合は、個別でなく、従業員全員に対して一斉に同じ手段で申告を呼びかけることが原則となります。呼びかけ方法としては、例えば一斉にメール送信することや、チラシ等を配布することが挙げられます。また、この呼びかけの際には、採用段階同様、利用目的等を明示することに加えて、「業務命令として、この呼びかけに対する回答を求めているものではないこと」を明らかにすることが求められます。

3.その他の注意点
 障害に関する情報を一度把握・確認した後も、情報に変更があれば更新が必要になります。障害者手帳の有効期限や障害等級に変更がないかを確認する場合には、その理由を明らかにした上で必要最小限の頻度で行うよう留意しなければなりません。

 いよいよ平成25年4月1日より、障害者の法定雇用率が1.8%から2.0%に引き上げられます。この引き上げで障害者の雇用が義務付けられる事業主の範囲が、従業員56人以上から50人以上に拡大します。障害者雇用は国の労働政策の中でも非常に重要なものと位置付けられており、企業には今後、更に多くの障害者雇用が求められることが予想されます。障害者を有効に活用できる環境を構築すると共に、障害者の新規採用や現在雇用している従業員の障害に関する状況等の把握・確認を行う際には、プライバシーの問題等に配慮して行く必要があります。 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。