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【人事労務ニュース】 懲戒で減給処分を行う際の労働基準法の制限

 従業員が問題行動を起こした際には、企業秩序を維持するため、就業規則に従って懲戒処分を行うことがあります。この懲戒処分には譴責、減給、出勤停止、諭旨退職、懲戒解雇など様々な種類がありますが、このうち減給については労働基準法で減給できる限度について2つの制限が設けられています。以下ではその内容について解説をしましょう。

1.1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない
 減給をするときには、1回の額が平均賃金の半額を超えてはなりません。また、1回の事案については1回しか減給を行うことができません。例えば、平均賃金が10,000円の従業員であれば、その半額である5,000円が1回の減給の上限額となります。

2.総額が賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない
 減給の対象となる事案が複数ある場合には、複数回の減給を行うことができますが、その総額についても上限額が定められており、賃金支払期の賃金総額の10分の1とされています。例えば、通勤手当や時間外労働手当なども含めたその月の賃金総額が300,000円の従業員であれば、複数回の減給を行ったとしても減給の総額は30,000円までとなります。なお、その月の上限額を超えてしまうほど減給事案が多い場合には、上限額を超えた残余分を翌月の賃金支払期に繰り越して減給を行うことは可能とされています。

 毎月の賃金は従業員の生活を直接支えるものであることから、このように制限が設けられています。まれに減給を数か月に亘って実施しているような事例を目にしますが、そのような扱いは労働基準法違反となりますので、ご注意ください。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。