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【人事労務ニュース】 平成26年3月より拡充された人材育成を行う際に活用できる助成金

 労働者の能力向上とそれによるミスマッチ失業の防止はいまや政府の最重点課題の一つとなっています。そこで厚生労働省では、人材育成を行う事業主を支援するための助成金制度の拡充を進めていますが、平成25年度の補正予算成立により、新しい制度がスタートしています。そこで今回は従業員のキャリア形成やスキルアップに活用できるこうした助成金について、その拡充内容を中心にとり上げましょう。 

1.キャリア形成促進助成金
 【拡充内容】
 キャリア形成促進助成金は、従業員のキャリア形成を効果的に促進するために、職業訓練などを段階的かつ体系的に実施する事業主等に対して助成されるものです。具体的には、従業員の職業能力開発についての計画(事業内職業能力開発計画、年間職業能力開発計画)に基づいて訓練などを行った場合に、経費と訓練期間中に支払った賃金の一部が助成されます。

 対象は、原則として中小企業の事業主になっていますが、今回の拡充により助成金の中の(1)成長分野等人材育成コース、(2)グローバル人材育成コース、(3)育休中・復職後等能力アップコース、被災地の事業主については大企業の事業主も対象となりました。(1)〜(3)についての助成額・助成率は以下のようになっています。

表1 キャリア形成助成金(1)〜(3)の助成額・助成率
支給対象となる訓練
企業規模賃金助成
1人1時間あたり
経費助成
(1)成長分野等人材育成コース
(2)グローバル人材育成コース
(3)育休中・復職後等能力アップコース
中小企業
800円
1/2
大企業
400円
1/3

   ※1人あたりの賃金助成時間数は1コースにつき原則1,200時間を限度。
   ※経費助成の支給限度額は1人1コースあたり15万円〜50万円(大企業は10万円〜30万円)

・「育休中・復職後等能力アップコース」の創設
 今回の拡充により、女性の活躍を支援するために「育休中・復職後等能力アップコース」が創設されました。このコースの要件としては、以下の(1)〜(3)のいずれかに当てはまる訓練であることが必要になります。

(1)育児休業中の訓練
 3ヶ月以上の育児休業取得期間中の者を対象とする自発的な訓練(通信・自宅学習も助成対象)
(2)復職後の能力アップのための訓練
 3ヶ月以上の育児休業期間終了後に職場復帰し、訓練開始日において、職場復帰後1年以内の者を対象とする訓練
(3)妊娠・出産・育児により離職した者の再就職後の能力アップのための訓練
 妊娠・出産・育児により離職した者で、子が小学校就学の始期に達するまでに再就職し、訓練開始日において、再就職後3年以内の者を対象とする訓練

 近年、育児休業を取得し、職場復帰する従業員が増えていることから、従業員が育児休業中や復職後等に能力アップを図る際に、このような助成金の活用を検討したいものです。

2.キャリアアップ助成金(人材育成コース)
【拡充内容】
 キャリアアップ助成金(人材育成コース)は、非正規雇用の従業員に対して職業訓練などを実施した場合に助成が行われるというものです。具体的には、事業所ごとにキャリアアップ管理者を配置し、計画(キャリアアップ計画、職業訓練計画)に基づいて訓練などを行った場合に、その経費と訓練期間中に支払った賃金の一部が助成されます。今回の拡充により、Off-JTの経費助成額が訓練時間数200時間以上の場合、30万円(大企業の場合20万円)に引き上げられました。助成額をまとめると表2のとおりとなります。

表2 キャリアアップ助成金(人材育成コース)の助成額
企業規模
Off-JTOJT
賃金助成
1人1時間あたり
経費助成
賃金助成
1人1時間あたり
訓練時間数が
100時間未満
100時間以上
200時間未満
200時間以上
中小企業
800円
15万円
20万円
30万円
700円
 
大企業
500円
7万円
15万円
20万円

   ※実費が上記を下回る場合は実費を限度。

 助成金の受給にあたっては上記の他、細かな要件が設けられています。先日、厚生労働省から平成26年度版の詳細情報が発表されていますので、確認されることをお勧めします。

 

■参考リンク
厚生労働省「雇用関係助成金のご案内 〜雇用の安定のために〜【詳細版】」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/koyouantei.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。