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【人事労務ニュース】 就業規則を作成・変更する際の労働者代表選定と意見聴取のポイント

 近年、労働トラブル件数が高止まりしていることから、トラブルを防止するために、就業規則を見直す企業が増加しています。就業規則の作成・変更を行った際には、事業場の過半数代表の意見を聴いた意見書を付して、労働基準監督署へ届出を行う必要がありますが、最近はこの過半数代表者の選任方法について問題があり、更なるトラブルを生む事案も発生しています。そこで今回は就業規則の作成・変更の手続きに関し、注意すべきポイントを解説します。

1.過半数代表者と意見聴取
 過半数代表者とは、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合を、そのような労働組合がない場合は、事業場の労働者の過半数を代表する者を指します。就業規則を作成・変更した場合には、この過半数代表者の意見を聴き、その意見を記載した書面を添付することになっています。

2.過半数代表者の選出方法
 このように労働組合の有無により過半数代表者の取り扱いは異なりますが、中小企業では労働組合が組織されていない例が大半であり、多くの企業で労働者の過半数を代表する者を選出する必要があります。このような場合には、以下の2点に留意して選出をすることとなります。

①監督または管理の地位にあるものではないこと
 労働基準法第41条では、いわゆる管理監督者を定めていますが、過半数代表者はこの管理監督者以外の労働者から選出しなければなりません。

②民主的な手続きで選出されていること
 選出の際には、就業規則に関する意見を聴取する者の選出であること明確にし、民主的な手段により行います。具体的な方法としては、投票や挙手などが考えられ、また、話し合いや持ち回り決議などでも構わないとされています。ただし、話し合いや持ち回り決議で行う場合には、各従業員に署名をさせるなど、明確に選任を支持していることが分かるような方法で行うことが求められます。

 就業規則の意見聴取については、総務担当者が過半数代表者になっているなど、形式的に行われているという例が少なくありません。それでは労働トラブルを防止するために就業規則を見直しても、この点が適正に行われていないばかりに、無用なトラブルを呼んでしまうことにもなりません。就業規則の作成・変更の際には、瑕疵のない選出方法により過半数代表者を選出し、意見聴取を行う必要があります。

 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。