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【人事労務ニュース】 取扱いが見直された専業主婦(夫)の年金

 現在、老齢年金の受給開始年齢の引き上げが議論されており、この年金の問題は政府の継続的な重要課題となっています。それと同時に、何らかの原因により年金がまったく受給できない人に対する救済策についても議論が進められており、7月1日より年金の不整合記録に対する取扱いが変更となりました。そこで、今回はこの取扱いと特例措置についてとり上げましょう。

1.国民年金被保険者の分類
 そもそも国民年金の被保険者は、以下の3つに区分されます。
(1)第1号被保険者:20歳以上60歳未満の自営業者・学生・無業者等
(2)第2号被保険者:会社員・公務員
(3)第3号被保険者:第2号被保険者に扶養される年収130万円未満の20歳以上60歳未満の配偶者
 この中で、本来であれば第1号被保険者であったにも関わらず、第3号被保険者のままとなっている記録(以下、「不整合記録」という)について、その取扱いが変更されました。

2.不整合記録が発生する可能性のある人  
 不整合記録が発生するケースとしては、以下のような事例があります。
 ・サラリーマンの夫(妻)が会社を退職した
 ・サラリーマンの夫(妻)が亡くなった
 ・サラリーマンの夫(妻)と離婚した
 ・妻(夫)自身の年収が130万円以上となり健康保険の被扶養者ではなくなった

 このような場合、第3号被保険者から第1号被保険者となる届出を行い、国民年金保険料を納付しなければなりませんが、これまで届出が漏れるといったケースが発生していました。その際、届出遅れが2年を超えるようなケースでは、後日届出を行ったとしても、最大2年間しか国民年金保険料を納付することができず、2年を超える部分については、未納期間として取り扱われることになっていました。それが、今回の変更により改めて届出を行うことで、2年以上前の期間は「受給資格期間」として算入されることになりました。

3.受給資格期間に算入されることのメリット
 年金を受け取るためには、一定の受給資格期間が必要になります。逆にこの受給資格期間を満たさない場合には、たとえ国民年金保険料を納めた期間があったとしても、年金を受け取ることができません。今回、これまで未納期間となっていた部分が受給資格期間となることで、年金額には反映されないものの、年金の受給資格期間については算入されることになります。その結果、未納期間とされることでまったく年金が支給されなくなる人について、年金が支給される場合があります。

4.平成27年4月より開始される特例追納
 上記の受給資格期間への算入と合わせて、平成27年4月からは本来は遡及して支払うことができない期間についても、最大10年間、国民年金保険料を追加で支払うことが認められるようになります。これにより、受給資格期間として算入されるのみではなく、年金額を増加させることができます。なお、その期間については平成30年3月31日までの3年間が予定されています。

 この不整合記録がある人に対して個別に通知が行われることになっており、実際に手元に届いている人もいるようです。通知が届くと会社の方に相談してくる従業員もいることから、今回のような取扱いの変更があったことを把握しておきましょう。 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。