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【人事労務ニュース】 労災保険における第三者行為災害とその手続き

 従業員が業務中もしくは通勤途中の事故等で負傷した場合、労災保険の給付を受けることができますが、この負傷の中には、業務中や通勤途中に交通事故に巻き込まれる、第三者による加害行為が介在する等の場合も含まれています。労災保険制度ではこのような災害のことを「第三者行為災害」と呼んでおり、労災保険の給付と他の損害賠償との調整において特別な取扱いが行われます。そこで、今回は第三者行為災害が発生した場合の労災保険の給付の取扱いと手続きについてとり上げましょう。 

1.第三者行為災害が発生した場合の労災保険給付の取扱い
 第三者である他人の加害行為によって従業員が負傷もしくは死亡した場合、従業員または遺族はその第三者に対して民法上の損害賠償を請求する権利を取得すると同時に、それが業務や通勤に関するものであれば労災保険に対しても給付の請求権を取得することになります。しかし、このようにひとつの災害に対して、複数の請求権を取得して重複して給付を受けることになると、実際の損害額より多くの支払いを受け不合理であるという考えから、労災保険ではこのような場合、支給調整が行われることになっています。

2.第三者行為災害に該当した場合の手続き 
【従業員または遺族が行う手続き】
 従業員または遺族が第三者行為災害について労災保険の給付を受ける場合、所轄労働基準監督署に「第三者行為災害届」を提出し、併せて必要書類を添付する必要があります。

 

[主な必要書類一覧]

 


【第三者が行う手続き】
 労災保険給付を行う原因となった災害を発生させた第三者については、労働基準監督署より「第三者行為災害報告書」の提出を求められ、その報告書を提出する必要があります。

 従業員または遺族と第三者との間で、従業員または遺族が受け取るすべての損害賠償について示談が成立し、示談内容以外の損害賠償の請求権を放棄した場合、国は原則として示談成立以後の労災保険給付を行わないこととなっています。そのため示談を行う際には注意が必要です。

■参考リンク
厚生労働省「第三者行為災害のしおり」
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/040324-10.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。