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【人事労務ニュース】 労働者名簿、賃金台帳を各事業場に備え付けておくことが必要です

 労働基準監督署による調査が行われる際、多くの場面において労働者名簿、賃金台帳がきちんと事業場に備え付けられているか否かが確認されます。この備え付けは総務部や人事部のある本社だけでは不十分であり、各事業場で備え付けておくことが必要です。これは労働基準法の主な適用単位が各事業場とされているからであり、備え付けられていない場合は調査により法違反として是正勧告を受けることがあります。以下では、労働基準法が求めている労働者名簿および賃金台帳の具体的な記載内容と保管義務について解説しましょう。

 【労働者名簿】
 事業場ごとに日雇労働者を除くすべての労働者の名簿を作成する義務があり、たとえアルバイトであっても雇用した場合には労働者名簿を作成しなければなりません。この労働者名簿に記載すべき事項は以下のとおりとなります。

1.記載事項 
(1)労働者氏名、生年月日、履歴
(2)性別
(3)住所
(4)従事する業務の種類
(5)雇入れ年月日
(6)退職の年月日およびその理由
(7)死亡の年月日およびその原因

2.保存期間 
 労働者の死亡退職または解雇の日より3年間

 また、記載事項について変更があった場合、この労働者名簿を訂正しておく必要があります。

 【賃金台帳】
 事業場ごとに賃金台帳を作成しておく義務があり、労働者名簿の場合と異なり、日雇労働者についても賃金台帳の作成が必要となります。

1.記載事項
(1)氏名 
(2)性別 
(3)賃金計算期間 
(4)労働日数 
(5)労働時間数 
(6)時間外労働時間数・休日労働時間数・深夜労働時間数 
(7)基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額 
(8)労使協定により賃金の一部を控除した場合についてはその額

2.保存期間
 最後に記入をした日より3年間

 企業としてはまずは事業場単位で労働者名簿と賃金台帳が備え付けられているか、そして、記載事項が上記の内容を満たしているかチェックすることが求められます。また、これらの書類の他に、従業員の労働時間(始業・終業時刻)を適正に把握する義務がありますので、それが分かる書類(出勤簿、タイムカード等)についても備え付けておきましょう。

■関連法規
 労働基準法 第109条(記録の保存)
 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。