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【人事労務ニュース】 健康・環境分野の人材育成に取り組む事業主に支給される助成金が創設されました

 今年1月、国は「日本再生人材育成支援事業」という新たな助成金を創設しました。これは健康、環境、農林漁業分野等の事業を行う事業主が人材育成に取り組むことのほかに、海外未進出の事業主で、既に海外進出している企業の海外子会社等に従業員を出向させ実地訓練を行った場合に、その費用等が助成されるというものです。そこで、今回は5つの助成金から構成されるこの支援事業の概要について紹介しましょう。

 

1.非正規雇用労働者育成支援奨励金


[概要]
 健康、環境、農林漁業分野等の事業を行う事業主が、有期労働契約者等に対してOff-JTまたはOff-JT とOJTの両方を実施した際に支給される助成金です。申請に当たってはキャリアアップ管理者を配置し、3年から5年度程度の計画を立てたキャリアアップ計画と職業訓練計画を作成する必要があります。

[支給額] 1訓練コースにつき、以下の金額が支給されます。( )内は大企業の額です。 
・Off-JT分
       賃金助成…1人1時間当たり800円(500円)
       経費助成…1人当たり30万円(20万円)が上限
・OJT分  
       実施助成…1人1時間当たり700円(700円)
 ※1年度1事業所当たりの支給限度額は500万円

[対象となる訓練の要件]
(1)(2)のいずれかを満たす必要があります。
 (1)一般職業訓練
 (2)有期実習型訓練

[支給対象となる経費]
・事業内訓練(事業主が企画し主催するもの)
外部講師(社外の者に限る)の謝金、施設・設備の借上料、学科または実技の訓練を行う場合に必要な教科書などの購入費など
・事業外訓練(事業主以外が企画し主催するもの)
受講に際して必要となる入学料、受講料、教科書代など

 

2.正規雇用労働者育成支援奨励金


[概要]
 健康、環境、農林漁業分野等の事業を行う事業主が、正規雇用の労働者に対してOff-JTを実施した際に支給される助成金です。申請に当たっては原則1年間の職業訓練計画を作成する必要がありますが、訓練に必要な時間数が確保される場合は6ヶ月以上でも可能とされています。

[支給額] 
1訓練コースにつき1人当たり20万円が上限
 ※1年度1事業所当たりの支給限度額は500万円

[対象となる訓練の要件]
(1)(2)のいずれも満たす必要があります。
 (1)健康、環境、農林漁業等の業務に関するもの
 (2)1コースの訓練時間数が10時間以上(Off-JT)であること

[支給対象となる経費]
・事業所訓練…外部講師(社外の者に限る)の謝金※、施設・設備の借上料、学科または 実技の訓練を行う場合に必要な教科書などの購入費など
 ※1時間当たり3万円が上限
・事業外訓練…受講に際して必要となる入学料、受講料、教科書代など

 

3.海外進出支援奨励金(留学)


[概要]
 これから海外事業展開を考える海外未進出企業で、健康、環境、農林漁業分野等の事業を行う事業主を対象にしたものです。この事業主が国外に従業員を留学させた場合に、入学料、受講料、教科書代、住居費、交通費の助成が行われます。なお、申請には6ヶ月以上2年以内の期間の職業訓練計画を作成する必要があります。

[支給額] 
・大学、大学院の入学料・受講料・教科書代 年間100万円が上限
・住居費・交通費 支払った費用の3分の2 年間75万円が上限
 ※1年度1事業所当たりの支給限度額は500万円

 

4.海外進出支援奨励金(送り出し)


[概要]
 これから海外事業展開を考える海外未進出企業で、健康、環境、農林漁業分野等の事業を行う事業主を対象にしたものです。この事業主が既に海外進出している国内企業の海外子会社等に従業員を出向させた場合に、その実地訓練に要した経費や住居費、交通費の助成が行われます。なお、申請には6ヶ月以上1年以内の期間の職業訓練計画を作成する必要があります。

[支給額] 
・実地訓練に要した実地訓練指導者の指導料、教材費など 対象労働者1人につき20万円が上限
・住居費・交通費 支払った費用の3分の2(年間75万円が上限)
 ※1年度1事業所当たりの支給限度額は500万円

 

5.被災地復興建設労働者育成支援奨励金


[概要]
 岩手県、宮城県、福島県に所在する建設事業主が、被災地の復興に必要な人材を育成するために、建設技術・技能の取得に資する訓練を従業員に受講させた場合に、その経費に助成が行われるものです。なお、申請には職業訓練計画を作成する必要があります。

[支給額] 
・1訓練コースにつき、対象労働者1人につき20万円が上限
・宿泊費 支払った費用の3分の2
対象者1人当たり1泊5,800円(一部地域は5,200円)かつ年間10万円が上限
 ※1年度1事業所当たりの支給限度額は500万円

 上記1〜4の助成金は、健康、環境、農林漁業分野等の事業を行う事業主が対象とされていますが、この中には医療・介護、情報通信業、建設業の一部、製造業の一部等も含まれます。そのため、事業主としてはこのような助成金を活用しながら人材育成を図っていきたいものです。なお、これらの助成金は、平成25年3月31日までに労働局またはハローワークに受給資格認定申請書を提出し、その提出日から6ヶ月以内に訓練を開始する必要があります。

 また、本助成金にはいくつかの細かい要件が設けられていますので、最寄りの労働局または当事務所までお気軽にご連絡ください。

[参考リンク]
厚生労働省「非正規雇用労働者も含めた人材の育成をしたいときは」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/ikusei/

 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。