【医療福祉ニュース】 サ高住、調査結果から見る問題点
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の実状についての調査結果が、1月22日に行われた国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の整備等のあり方に関する検討会」で公表されました。
この調査は、平成26年度厚労省老人保健事業推進費等助成金によって野村総合研究所が行った「高齢者向け住まいが果たしている機能・役割等に関する実態調査」です。
調査では、事業者の属性、土地・建物の属性、入居者の属性、料金設定等の基礎情報や、サ高住の立地状況等の基本情報の他、「サービス提供等の状況と関係について」、「サ高住の質について」等の統計がまとめられています。
主な結果は、以下の通りです。
(1)地域による偏在状況
- 相対的に、地価が安い地域において、需要(高齢者人口)に対し多く供給される傾向が見られる。
(2)地域偏在による問題点
- 相対的に、需要に対する供給が多い地域のサービス付き高齢者向け住宅ほど、市街化区域以外の地区に立地する傾向が見られる
- 相対的に、需要に対する供給が多い地域のサービス付き高齢者向け住宅ほど、公共交通機関へのアクセスの悪い地域に立地する傾向が見られる
- 医療機関へのアクセスの悪い地域に立地している場合、医療機関との連携・提携が行われづらい傾向にある
(3)状況把握・生活相談サービスの提供体制
- サービス付き高齢者向け住宅については、相対的に入居者あたりの職員数が少ない傾向が見られる
- 社福をはじめとし一定の資格を有しない職員により必須サービスの提供が行われている事業者が存在する
(4)情報提供・事前説明の状況
- HPによる情報提供の質や方法が不十分な事業者が存在する
- 外部サービスの利用や看取りが必要になった場合の対応について事前説明をしていない事業者が一定数存在する
(5)外部サービスの提供状況
- 介護サービスを利用する全ての入居者が、同一グループの事業所等の訪問介護・看護等を利用しているものが一定数存在する
- 同一グループの事業所において入居者のケアプランを作成しているものが多く存在する
- 生活保護受給状況に応じた家賃設定をするものは、生活保護受給者の入居率が高い傾向が見られる
- 生活保護受給者が多く入居しているものにおいては要介護度の高い者の入居割合が高くなる傾向が見られる
(6)要介護度の進行に伴う適切なサービス提供
- 重度の要介護者や認知症の方、医療処置の必要な方も受け入れている。今後、入居者の高齢化等に伴い、介護や医療の必要な者の増加が見込まれる
- 要介護度や認知症の重度化に対応した設備の設置、適切な医療・介護サービスの提供、看取りの実施に一部課題が認められる
- 連携・提携する医療機関がない場合、要介護度や認知症が重度化した場合の継続居住に一部課題が認められる
(7)居室の広さ
- 元気な高齢者の方には25?以上の居室が望ましいが、20?未満の狭小な面積のものが少なからず供給されている
同検討会は今回の会合で、上記の実態調査の結果とこれまでの議論をまとめ、今後の検討の方向性を示しています。
調査結果の概要等の資料は、以下のサイトでご覧いただけます。