【人事労務ニュース】 健康分野・環境分野の人材育成に取り組む事業主に支給される奨励金
政府の新成長戦略において、健康・環境分野は重点強化の対象とされていますが、その分野の成長を支え、生産性を高めるためには人材の確保と育成が必要であることから、成長分野等人材育成事業奨励金(以下、「奨励金」という)という制度が用意されています。今回はこの奨励金の内容について解説します。
1.奨励金の概要
この奨励金は健康・環境分野および関連するものづくり分野の人材育成のために職業訓練を実施する事業主へ支給されるものです。支給額は、事業主が負担した訓練費用であり、対象者一人あたり20万円が上限とされています。2.受給できる事業主の要件
受給できる事業主の主な要件は以下の3つです。
(1)雇用保険の適用事業主であること。
(2)健康・環境分野の事業を行っていること。
(3)あらかじめ職業訓練計画を作成し、労働局の認定を受けること。(2)に関して、具体的には林業、情報通信業、運輸業・郵便業、医療福祉などの事業を行っている場合が対象になります。環境分野には、例えばエコ住宅を建築している建設業やエコカーの部品を製造している製造業も含まれることとなっており、その他の事業でも健康・環境に関わる事業を行っていれば対象となる可能性があります。人材育成支援を考えている際には労働局に問い合わせを行い、申請を検討してもよいでしょう。
3.受給対象者となる労働者の要件
受給対象の労働者は以下のいずれかの要件に該当する労働者であり、職業訓練計画に基づいて訓練を受ける必要があります。
(1)申請日の前日から起算して5年前の日以降に成長分野等へ雇い入れられた、期間の定めなく雇用される労働者
(2)申請日の前日から起算して5年前の日以降に成長分野等以外の分野から成長分野へ配置転換した、期間の定めなく雇用される労働者4.対象となる職業訓練
この奨励金を受給するためには、事前に成長分野の業務に関してどのような訓練を実施するかを記載した職業訓練計画を作成し、労働局の認定を受けなければなりません。職業訓練の実施期間は原則1年であり、遅くとも平成25年3月31日までに申請を行い、申請から6ヶ月以内に訓練を開始する必要があります。なお、職業訓練は1つあるいは複数の職業訓練コースを組み合わせたものとして計画する必要がありますが、1訓練コースは10時間以上であり、かつOff-JTを含むものでなければなりません。5.対象となる訓練費用
支給対象となる訓練費用は、外部講師の謝金・手当、施設・設備の借り上げ料、必要な教科書などの購入費または作成費、受講に際して必要となる入学料、受講料、教科書代など実際に支払った金額で、原則として1訓練コースにつき対象労働者1人当たり20万円が上限となります。なお、支給対象となる訓練費用についてキャリア形成助成金など他の助成金等を受けている場合は、重複して受給することはできません。