【人事労務ニュース】 健康・環境分野の事業主において、「成長分野等人材育成支援事業」助成金が活用しやすくなりました
雇用の拡大と労働者の能力開発は政府の最重要課題の一つに掲げられていますが、その方針を受け、健康・環境分野の人材育成に取り組む事業主を対象とした「成長分野等人材育成支援事業」(平成24年3月31日までの暫定措置)が創設されています。この制度は健康・環境分野の事業主が人材育成を行う際に非常に有用なものとなっており、平成23年7月26日には支給要件が緩和され、改正前に比べ活用しやすくなりました。そこで、以下では、この助成金の概要について紹介しましょう。
[概要]
成長分野等人材育成支援事業とは、健康、環境分野および関連するものづくり分野の事業を行っている事業主を対象とし、都道府県労働局長の認定を受けた職業訓練計画に基づき、労働者にOff-JT(通常の業務を離れて行う職業訓練)を実施した場合、訓練費用の助成を行う制度です。
[奨励金の対象となる労働者]
奨励金の対象となる労働者は、以下の1.または2.のいずれかに該当する者となります。
1. 都道府県労働局への受給資格認定申請日の前日から起算して5年前の日以降に成長分野等へ雇い入れられた、期間の定めなく雇用される労働者
2. 都道府県労働局への受給資格認定申請日の前日から起算して5年前の日以降に成長分野等以外の分野から成長分野等への配置転換した、期間の定めなく雇用される労働者
[支給要件と今回の緩和の内容]
申請にあたって事業主は職業訓練計画を作成する必要がありますが、この職業訓練計画について以下の1.から3.の3つの要件を満たしたものにすればよく、4.については今回の改正により撤廃されました。
1. 成長分野等の業務に関する内容のものに限り、趣味教養との区別のつかないものなどは含まれないこと
2. 実施期間が原則1年であり(Off-JT訓練に必要な時間数が確保される場合は6ヶ月以上)、遅くとも平成23年度までに受給資格認定申請を行い、その日から6ヶ月以内に訓練を開始するものであること[改正]
3. 1コースの訓練時間数が10時間以上であり、かつ、Off-JTの訓練コースを含むものであること
4. Off-JTは、労働者の所定労働時間内に実施される訓練が、原則として総訓練時間数の3分の2以上であること→この要件は撤廃されました。[改正]
[支給額]
事業主が負担した訓練費用(1訓練コースにつき対象者1人当たり20万円(※)を上限として支給する。)
※中小企業が大学院を利用した場合には、50万円を上限とする。
[支給対象となる経費]
・ 事業所内訓練…外部講師(社外の者に限る)の謝金、施設・設備の借上料、学科または実技の訓練を行う場合に必要な教科書などの購入など
・ 事業所外訓練…受講に際して必要となる入学料、受講料、教科書代など
この職業訓練計画については、労働局またはハローワークでの審査に時間がかかるため、訓練開始1ヶ月前までに申請することになっています。そのため事業主としては、時間に余裕をもって手続きを行うことが望まれます。なお、実際の助成金の受給については各都道府県の労働局がその窓口となりますが、職業訓練計画の作成や支給対象となる訓練経費等細かな注意点がありますので、申請を検討される場合にはご遠慮なく、当事務所までお問い合わせください。
■参考リンク
厚生労働省「健康・環境分野等の人材を育成したいときは」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/f-top.html
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。