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【労働法】 認定こども園で労働基準法違反の疑い

 「定員を大幅に上回る園児を受け入れていた認定こども園において、同園が住所地の市に提出していた保育士との雇用契約とは別に、一部の保育士との間で遅刻や欠勤をした場合に罰金や無給勤務を科す契約を結んでいたことが分かった」、という報道がありました。
 市は、労働基準法違反の疑いがあるとみて労働基準監督署に情報を伝えたとのことです。

 市によりますと、同園は、市に保育士の雇用期間や賃金などを記載した契約書を提出していましたが、この契約書とは別に一部の保育士との間で、欠勤や遅刻をした場合は給与から1万円減額する、保育士の休日が園の定める日数より多くなった月は超過日数に応じて給与をカットする、無断で欠勤した場合は無給で7日間ボランティア勤務をさせる、30分以上遅刻した場合は2日間ボランティア勤務をさせるなどとする契約(裏契約)を結んでいたということです。また、時間外労働をしてもその分の手当は支払われていなかったという保育士からの訴えもあったようです。
 労働基準法の「制裁規定の制限(91条)」の規定に違反していることが疑われるほか、「賃金の支払(24条)」、「割増賃金(37条)」、「年次有給休暇(39条)」などの規定の違反も疑われます。ボランティア勤務をさせていたのであれば、最低賃金違反もあるのではないでしょうか。そもそも、裏契約自体が無効ですね。

 この認定こども園、園児の数が定員オーバー、施設の温度管理がずさん、給食の管理がずさんなど、多くの問題が指摘されています。偽りの勤務表を市に提出していたなどといった報道もあり、労働基準法以外の法令や条例などに違反する行為がぼろぼろ出てきそうです。

 少し前であれば、労働基準法違反(保育士の劣悪な勤務状況)のことはそれほど注目されなかったかもしれません。しかし、働き方改革が叫ばれる中、マスコミも世論もこの手の話題に敏感になっているようで、「労働基準法違反」をメインにする報道も目立ちます。
 人を雇う限り、労働基準法をはじめとする労働関係の法令を遵守することがやはり必要不可欠といえそうです。